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光と陰の世界で生まれ変わるもの―ウィスキー

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ウイスキーは、その歴史をみるとまさに陰の時代とも呼べる密造時代があってこそ生まれたお酒である。 16世紀ごろからスコットランドでのウイスキー造りは盛んになった。

当時製造工程に「熟成」はなく、ポットスティルで蒸留されたばかりの無色透明のスピリッツが飲まれていた。1707年、イングランドとスコットランドが併合され、イングランドはスコットランドに高い酒税をかけるようになった。そこでスコットランドではウイスキーの密造を目に付かない山奥でわからないように始めたのだ。地元のピートを使いシェリー酒で使用した樽を再利用し、長い年月の間樽を渓谷などに隠して貯蔵していた。この密造時代は約100年間続いた。

そして時を経て出来たものが、琥珀色をした味も香りもまろやかな味わい深いウイスキーだったのだ。 陰の時代に育まれたウイスキーは熟成されてより風味を増して光のもとにその姿を現した。スコットランド人のウイスキーに対する強い愛情が生み出したお酒なのだ。その後様々な改良が加えられ、現在の高品質なウイスキーとなっている。

保管はウイスキーは光に弱く、反射光でも劣化が進むのため光をさえぎる遮光瓶に入ったものをさらに箱に入れてするのが理想だ。

ウイスキーはストレート、オン・ザ・ロック、水割り、ホットウイスキーなど多くの飲み方があり、その飲み方に合わせたグラスで飲むと楽しめる。特に創業1765年フランスのクリスタルガラスのトップブランド バカラのロックグラスは光を美しく反射し、目にも美しい重厚なグラスが揃っている。グラス自体のカットで屈折した光が織り成す輝きは、グラスに宿る氷やウイスキーにも反射して美しいハーモニーを醸し出す。

また、ウイスキーを飲む光環境としては色温度が低く、半間接照明のような落ち着いた雰囲気を醸し出す照明がふさわしい。琥珀色の深い色をより魅力的に見せる照明のもとで、美しく光を取り込んだグラスにウイスキーを注ぎ、ゆったりと芳醇な香りと共にその味を楽しむひとときは、忙しい生活の中にあって潤いのある贅沢なくつろぎの時間となることだろう。

 

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