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大学の光環境について1―体内時計と照明

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大学校舎の光環境について考えるにあたり、いろいろな視点から考えてみたいと思う。

人間の生活リズムから見てみたい。人間は地球の自転による24時間周期に合わせて、体の基本的な働きを約24時間のリズムで変動させている。 このリズムをサーカディアンリズム(概日リズム)と呼んでいる。 このサーカディアンリズムは体内時計によって刻まれているため、体内時計 が乱れると、様々な生体リズムも乱れてしまうと考えられている。

体内時計には脳の中にある「主時計」と、全身の細胞にある「末梢時計」の2種類がある。その2つのリズムが同調することで、正しく1日のリズムが刻まれる。
主時計のリズムは25時間周期だが、毎朝、目から光の刺激を受けることでリセットされて24時間周期の調整されている。

末梢時計は朝食により末梢時計がリセットされ、主時計のリズムと同調する。朝食を抜くと、末梢時計がリセットされず、主時計と同調せずに働くので、体内リズムが乱れ、脂質の代謝異常やホルモンの分泌異常を招くと言われている。 ある大学生の生活状況調査で、就寝時刻、起床時刻が遅く、朝食を抜いている学生が多いという結果が出ている。また、午前中の授業時間に、覚醒度が低い学生が半数以上も存在するという結果もあり、大学生の体内リズムの乱れが懸念される。

大学生が健康的な生活を営むことができるように、光が人間生活のリズムを正しく刻む主時計に大きな影響を持つことや、朝食をとることが末梢時計のリセットに必要であることの重要性を啓蒙することの必要性を感じる。 そして照明計画において、午前中の学生の覚醒度を高くするために午前中の教室の照明を色温度の高い光にしたり、太陽の動きに合わせて照明の光を変化をさせることで、本来の体内時計のリズムに合った体にやさしい環境を作ることができると考える。

 

photo :大東文化大学東松山キャンパス(ALG照明デザイン)

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