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文様と光 (3) – 欄間

今回からは建築における文様と光について取り上げてみる。
建築に取り入れられてきた文様として欄間の文様が挙げられる。

欄間は、日本の建築様式のひとつで採光、通風、装飾といった目的のために天井と鴨居との間に設けられる開口部材である。部屋と部屋の境に設けられる欄間や、縁側と部屋との間に設けられる採光のための欄間、装飾としての書院欄間がある。

奈良時代から寺社建築への採光を目的に作られたものと考えられており、後に彫刻等の技巧を凝らした華麗なものが貴族階級の住居にも使われるようになった。江戸時代以降に発達し明治時代中期には広く一般住宅にも取り入れられるようになった。

欄間は、障子、組子、格子、透かし彫り、彫刻などをはめ込むことで様々な形状のものとなり、欄間を通る光にも様々な表情を生むことができる。

薄い厚みの木材に透かし彫りが施された彫刻欄間は、木肌の持つ味わいと透かし模様が調和して落ち着いた雰囲気を醸し出し、「粋」な印象も与える。
厚い木材に立体的な彫刻を施した彫刻欄間は、見事な造形が風格のある重厚な雰囲気を作り出し、豪華な装飾として空間そのものの質感をより高いものとする。

組子を入れた欄間は、木の色合いを生かして作られ、そのデザインはシンプルで美しい。組子は、金物を一切使わずに細い材を手作業で組むもので、木の特性と性質を熟知した熟練の技術が要求される日本独特の装飾技法である。
組子は障子や襖や建具にも使われ、現代までその技術が受け継がれてきている。

組子欄間を通る光は、組子のシャープで幾何学的な文様を美しく浮きだたせ、木を通して見える光は温かく目に映る。

現代においても組子を障子の桟や照明器具のシェードに使用した製品が作られており、繊細なラインで縁取られた枠から漏れる美しい光の表情を楽しむことができる。

 

photo by TANAKA Juuyoh