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日本の伝統色1

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日本には古くから歴史とともに育んできた色―伝統色―がある。 その伝統色は、日本人が複雑で微妙な自然の色合いを植物や動物などの名前をつけて分かりやすく表したものでその数は千以上と言われる。

伝統色には様々な名前の色があるが、桜の色についてみてみよう。 桜の色は「桜色」と呼ばれる色で、赤みを含んだ淡い紅色である。 他に薄墨がかかった桜色には「桜鼠色」と呼ばれる色があり、やや灰色がかった明るい桜色には「灰桜色」と呼ばれる色がある。

このように日本人は微妙な色の違いを見分けて色彩に多くの名前をつけてきた。そんな日本の色彩文化の歴史は7~8世紀ごろから始まる。 この時代、色を表す言葉は4種類であった。それは光を表す「白」、闇を表す「黒」、明白さ(顕)を表す「赤」、曖昧さ(漠)を含む「青」であり、色彩というよいり明るさや暗さなど光の様子を表していたと言われている。

その後、平安時代になると王朝貴族たちは何枚も衣装を重ね合わせた「襲(かさね)の色目」による装束を着て自然の風景を衣装に映そうとした。 そして衣装一枚ごとの表裏の色合いや、袖口や裾の折り返しに縫いつけた布の表裏の色の対比や、光が透過した時に見える微妙な色合いを楽しんだ。

その色目は、春は「藤」「桜」など、夏は「橘」「撫子」など、秋は「桔梗」「紅葉」などと言うように季節ごとに決められており、着用期間も決められていた。同系色を重ねたり、反対色を重ねたりと様々な色の組み合わせがあり、その配色の美しさは素晴らしく、改めて自然と共に生きてきた日本人の感性の繊細さを感じさせるものである。

 

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