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日本画と光2―光と影の幻想を奏でる女性浮世絵師・葛飾応為

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浮世絵作家として世界にその名を知られている葛飾北斎。 その北斎の娘が、光と影を独特の描法で描き、繊細で怜悧にして大胆な作品を描いた女浮世絵師であったことはあまり知られていない。

その娘は北斎の三女で名前を栄(えい)、画号を葛飾応為(かつしか おうい)といい、絵師に嫁いだあと離縁をし、晩年の北斎と生活を共にした浮世絵師である。 一説には北斎の絵の代筆もしていたのではないかとも言われている。

応為の描く浮世絵は、北斎が「美人画にかけては応為には敵わない。彼女は脈々と描き、よく画法に敵っている。」と語ったほど美人画に優れていた。  その応為の作品は少なく、世界に約10点ほどしか残っていないが、女性ならではの繊細さとセンスの良さが伺える作風で、特に光の描写に優れていた。  「夜桜美人図」は暗闇の中に浮かび上がる桜と女性、灯籠の光、を陰影の濃い表現で美しく表している。 この女性は元禄時代に活躍した女流歌人・秋色女を描いているとされている。

星空の下、石灯籠の白い光が歌人の顔や歌を詠む手元、桜を闇の中に浮かび上がらせ、着物の裾を雪見灯籠の仄かな光が照らしている。 夜空の星は白色、紅色、藍色などの色を使い、5種類ほどに描き分けた点描となっており、星の明るさの等級を細かく表している。

他にも「吉原格子先之図」でも幻想的な光の描き方をしており、誇張した明暗法と細密描写でそれまでの浮世絵になかった表現法で光を表している。 応為は西洋画法への関心が深かったといわれ、光と影を美しく描いた光の浮世絵師として、その才能が再評価されている。

 

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