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育児と光(3)

幼児と光

子供は見ることで自然に視力を訓練してゆき、目の視力が完成するのは6歳ごろである。そのため目の機能の生育の上で幼児の時期は大変に重要な時期となっており、目に対する適切な配慮が望まれる。今回は1歳から6歳までの幼児期と光の関係についてみてみたい。

日本の0歳から4歳までの子供は欧州諸国に比べ、就寝時刻がとても遅くなっている。日本小児保健協会の調査では(2011年)では午後10時以降に寝る3歳児は31%である。

この原因としては、日本が眠らない社会となっていることが挙げられる。夜遅くまで営業する店が増え、家庭に於いてもインターネットやゲームなどを夜遅くまで利用する人が増えて大人の生活が夜型となっている。そして大人と共に夜遅くまで活動する生活習慣となってしまっている子供が多い。

乳幼児の就寝時刻が遅くなることは、睡眠時間が減少し、睡眠の質も下がってしまい、子供の健全な成長に悪影響を及ぼす。

まず、遅く寝ることにより夜間に強い光を受け続けるとメラトニンの分泌量が減少してしまい、正常に分泌されなくなる。メラトニンは、眠りを誘うほかに、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促したり、疲れを取るために病気の予防や老化防止にさまざまな効果を持つと考えられているホルモンのひとつである。メラトニンの分泌量は1歳から5歳が最も多く分泌されると言われ、この時期に十分な分泌が得られる必要があり、幼児期の遅寝は特に避けたい習慣である。

3歳児の時の就寝時刻が遅かった子は小学校4年になっても遅寝の傾向が強いという。学童期の就寝時刻が遅い子供は成績も低く、就寝時刻が早い子供は成績が高い傾向があり、睡眠が学習能力に関係してくるのである。
幼児の時の遅寝がその後の悪い生活習慣にもつながっていくということは、健康の面でも生活の面でも幼児期の規則正しい生活と光の浴び方が大切になることを示している。

幼児期は目を育てる大切な時期と大人が十分認識して、夜型の大人の生活に子供を巻き込まず、子供の目の発育を助けるような正しいサポートをしっかりと行いたいものである。

 

photo by Toshimasa Ishibashi