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光と美術8-エルグレコの光

ヨーロッパ美術では写実表現を追い求めた一方で、非現実的な光もまた描かれました。
レンブラント、フェルメール、モネなど「光の画家」と呼ばれる画家は多いが、マニエリスム後期の巨匠で16世紀後半から17世紀にかけて活躍したエル・グレコ(1541-1614)もまたその一人です。
ギリシャに生まれイタリアでミケランジェロの影響を強く受けたグレコはスペインで数多くの宗教画を残しました。「受胎告知」など、劇画のような光が印象的な作品も多くあります。
17世紀には貴族趣味の様式美であったマニエリスムが敬遠され、自然主義的な描写が好まれるようになり、一度は美術界から忘れ去られてしまったエルグレコですが、19世紀から20世紀にかけて起こったカタルーニャ版アールヌーボー「モデル二スモ」の時代になって再評価されるようになりました。

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