週一回照明デザイナーの視点で切り取った折々の風景や気になる言葉を少しずつ綴っていきます。ALG本サイトwww.alg.jp
     ALG

ステンドグラスの歴史4―黄金期

9364940315_2e287dc8e7_z

 

11世紀から15世紀は黄金期とも言える時期でステンドグラス芸術は大きく飛躍した。

12世紀にはゴシック建築の登場と共に絵付けの技術が発達し、神や聖人の絵をガラスに表現できるようになり多くの素晴らしい作品が製作された。フランスのルマン大聖堂にその作品を見ることができる。

そして13世紀にはステンドグラスのデザインはより細かく、装飾的になっていった。代表的なものはフランスパリのシャルトル大聖堂のものである。内部はバラ窓など176もの色彩豊かなステンドグラスがあり素晴らしい空間となっている。

14世紀にはシルバーステインという現在も使われている重要な技法が生まれる。これは銀でできたステンドグラスの絵付け顔料の一種で黄色~オレンジ色を出すことができ、光を通すと黄金に輝く顔料である。

その後、エマイユ、サンギーヌという新しい顔料も生まれた。
エマイユという顔料は色を付けたい部分に自由に色を付けられるため、これにより絵をガラスのカット線で細かくカットせずに、大きいピースの中にいろいろな色を付けて表現できるようになった。サンギーヌは赤茶やオークル色で、人物の肌色に使われてよりリアルにイメージを表現できるようになった。

15世紀にはゴシック建築の発展により教会などの窓はより複雑にデザインされるようになっていく。
15世紀後半になると、2層になったガラスにエッチングを施す技法も生まれて表現の幅が広がった。

このようにしてステンドグラスの技法は発展してきたが、そのまま好調に製作が続けられていった訳ではなかった。

これ以降、16世紀のルネッサンスに影響されてデザインが写実的になっていく。また、エナメル塗料の発達でさらに写実的な表現となり、本来のステンドグラスの魅力である透明感を失っていく。さらに宗教改革による戦争や偶像破壊運動などによりステンドグラスが破壊され、ステンドグラスは衰退へと進んで行く。

 

photo by Mathew Winchester

 

■関連記事
「ステンドグラスの歴史1」
「ステンドグラスの歴史2」
「ステンドグラスの歴史3―ステンドグラスの始まり」
「ステンドグラスの歴史4―黄金期」
「ステンドグラスの歴史5-衰退期」
「ステンドグラスの歴史6-復興期」
「ステンドグラスの歴史7-現代から未来へ」