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ソサエティ5.0に向けて – 光との関わり方 平成時代~現代

平成時代になるとあかりの第一世代のろうそく、第二世代の白熱電球、第三世代の蛍光灯に続く第四世代の明かりと言われるLED照明が登場する。

LEDは1960年代に赤色LEDと黄緑色LEDなどが開発され、1993年に青色LEDの実用化、1995年に緑色LEDの実用化、1996年に白色LEDの実用化がされ、LED照明が生産されるようになった。

LED照明は従来の白熱電球や蛍光灯と比較すると以下の特徴を備えている。
長寿命、高信頼性、低消費電力、低発熱性、耐衝撃性、小型化が可能、点光源として利用可能、高速応答性、直流低電圧駆動、など。

消費電力は白熱灯に比べて約87%、蛍光灯に比べて約30%削減できるとされ、省エネ効果が非常に高い。省エネに効果的なLEDはこれからの照明として大きな役割を果たしていく光源である。

またLEDの出現により調光調色が容易になり、照明器具の光のヴァリエーションの巾が大幅に広がった。そして、照明のコントロールにより、時間、季節、天候その他に応じた照明のあり方を人間主体にして考えてシステム化することで人にやさしく地球にやさしい照明の実現が図れるようになった。

1987年には有機ELが発明された。照明への応用は2009年に製品化され、それ以降開発が進んでいる。面発光ができ、形状に制約がない、透明である、などの特徴がある有機EL照明は発光効率やコストの点も改善されつつありLEDと共にこれからの照明として期待されている。

 

焚火から光を得ることから始まった人間と光の関係。調理や暖を得るための火を物を照らすためにも利用してきた時代を経て、その後は灯具を使用しながら油を燃焼させることで光を得てきた。そして灯具を利用しながら、日本人はいかに日本建築の中と外で光を演出するかに心を砕いて器具を開発製作していく。江戸時代には、生活の行動ほとんどに対して適正な光が提供できるように様々な灯具が揃った。そして、単に光で照らすだけではなく、光の強弱、光の明暗、光の照射状態などを調整できるような工夫を施し器具を製作していった。

日本のあかり文化は時代ごとに庶民の生活の中で育まれてきた伝統文化と言えるだろう。先人の知恵や工夫に改めて感心すると共に和の灯りの良さはこれからも伝承していきたいものだと感じる。