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静まり返った夜。 照りつける陽の光から、影の世界へ。 こんな時は、ピアノの音に酔いしれてしまう。
音で形どられた、夢想の空間。
今にも壊れてしまいそうな輪郭だけの繊細な音の空間に、 不安と戸惑いを覚えるけれど、それでも確かな音の響きに 不確実な心を落ち着かせようとする。
音で形どられた、不確定で不確実な空間。
陽の光が影の世界をかき消す頃に、 かすかな、繊細で透明な色の世界が生まれてくるのかもしれない。