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文様と光 (2) – 日本の文様

「文様」とは人工的に表された模様のことで、地域を問わず、古代より土器や服飾、建築装飾や実用品まで多くのものに施されてきた。世界各地にある文様は、その国や地方により様々な意味をもっている。

日本での文様は中国や朝鮮との交流の中で取り入れられ、独自に発展してきた。
特に平安時代以降、公家の装束や調度品に使用された文様は「有識文様」とされ、特別に身分の高い人達が使う格調高い文様として継承されてきている。

現在までに伝えられている文様は200種類ほどあり、そのほとんどは江戸時代に生まれたものである。

文様には、動物、植物、自然、人造物、文字、情景、抽象的なものなどを対象としたものがある。ある種の規則性がある模様もあり、規則性が全く見られない模様もあるが同じ形態が繰り返し用いられるものが多い。

日本の文様には、様々な意味を持つものがあり、縁起を意識したり願いを込めたものも多い。いくつか例を挙げてみる。

 

亀甲」―――― 亀の甲羅の形をしていて有識文様であり、おめでたい文様とされている。長寿の願いが込められている。
麻の葉」―――麻の葉のような文様。麻のようにすくすくと育つようにとの願いを込め
子供の産着に使われることが多かったそうだ。
七宝」――――同じ大きさの円を1/4ずつ重ねて連続していく文様。家庭円満や富貴繁栄の願いが込められ、仏教における7つの宝を表している。
籠目」――――編んだ竹籠の網目の文様。編み目の一つを紋章化した正三角形を上下に重ねた形は、邪を払う力があるとされ、魔よけの印としても使用された。
菱形」――――水生植物の「ヒシ」は繁殖力が強いため子孫繁栄、無病息災の願いが込められている。

 

日本人の繊細な心が作り上げた文様は、シンプルで美しい図柄が多く、文様それぞれに込められた願いを思いながら眺めると文様がより美しいものとして見えてくる。