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日本の伝統色2

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日本の伝統色について引き続き見てみたい。
室町時代は素朴な武家文化と優美な貴族文化が融合した時代である。 この時代を象徴するのは禅宗や水墨画による「墨」と金閣寺、銀閣寺の「金色」であり「枯淡」と「華麗さ」の共存の時代だった。

江戸時代には町人文化が発展しさっぱりした気立てで、あかぬけているいわゆる「粋」といわれる美意識が生まれた。 そして一般大衆が好む流行色現象がおきて、庶民は茶系統、鼠系統、青系統の色を好み、それらの微妙な配色を楽しんだ。

明治時代になると化学染料の誕生や照明の発達と共に、中間色相の華やかな色が好まれていく。そして大正時代になると化学繊維の新鮮な色が一般化し、明るく鮮やかな色が主流になっていき、現在に至っている。

 

現代の私達の世界では膨大な種類の色が存在している。 そして年代ごとに流行色という時代を表す色が存在して私達の生活に影響を与えている。 現代の人工的に作られた色の氾濫の中にあって、自然の草木で染めた品物や自然色の製品の目にやさしい癒しの効果や価値を評価する人も多い。

 

四季の移ろいの中に繊細な色の世界を見出し、自然と共生しながら自然を模倣する色合いを楽しんできた日本人。 その豊かな心や感性によって名づけられ、引き継がれてきた日本の伝統色。 伝統色の色合いはそれぞれの名前と共に深い味わいがあり、これからも素晴らしい日本の色として大切に利用していきたいものである。

photo by Ayumi

 

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