週一回照明デザイナーの視点で切り取った折々の風景や気になる言葉を少しずつ綴っていきます。ALG本サイトwww.alg.jp
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気持のよい光ってなんだろう

生命がはじめて感じる光は、母胎の中からうっすらと感じる光だろうか。
遠くに見える外界の光に導かれながら産まれてくるその瞬間は、長い渡り廊下を抜けた後に広がる神聖な空間を連想させる。
私達が豊かに生活するための能力として五感がある。「視覚」は五感の中でも87%を占め、またその中でも色情報は80%以上を占めるそうだ。
色の生成には光と闇の両方の要素が必要だと、ゲーテは言った。
五感との関係から見ても人への影響が大きいであろう光、日本は無駄に煌々としていると感じることがないだろうか。広告という観点からは、確かに視覚によって人々に与える影響が大きいことは確かである。街角が暗ければ物騒な雰囲気になるのもわかる。
しかしながら、東北の震災後に節電で極力抑えられた最低限の光が妙に落ち着いた記憶がある。生活面においてもPCやスマートフォンは必要不可欠なこの時代、どこを向いても明る過ぎて疲れる。
もう少し五感に敏感になれば見えてくる心地良さがわかるはずだ。
必要なところに必要な光を。必要なところにエネルギーを。人間生活に与える影響力はもちろん、地球の環境にも関わってくる問題だ。