週一回照明デザイナーの視点で切り取った折々の風景や気になる言葉を少しずつ綴っていきます。ALG本サイトwww.alg.jp
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秋の空模様

「女心と秋の空」女性の気持ちは秋の空模様のように変わりやすいものである――そんな言葉もあるほどに、秋の空は様々に表情を変える。

 

秋雨(あきさめ) ― 夏から秋へと季節が移り変わる際に発生する前線により続く長雨。黒色をした雲が太陽を隠し、秋の冷たい雨が降り続く様子。

秋晴れ ― 雲ひとつ無い晴天。台風が通過した後などに見られる天気で、空気が澄んでいて抜けるような青空が広がる。紅葉と空の青のコントラストが大変美しい、秋の特徴のひとつとも言える空模様である。

濃霧 ― 朝と晩の気温差が大きい秋に見られやすい、濃い霧が立ち込める様子。見慣れた街が濃霧に包まれる様子は、先を見通すことができない不安感を抱いたり、白くぼんやりとした霧の中から浮かび上がる景色が幻想的に見えたりと、その時々によって様々な印象を受ける。

秋時雨(あきしぐれ) ― 晩秋に降る、しとしととした物静かな雨。「時雨」とは冬の雨を指す言葉で、秋時雨の哀愁漂う空模様は冬がすぐそこまでやってきていることを感じさせる。

秋晴れの日、風に揺られのびのびと育つ秋の木々や草花を爽やかに照らす太陽の光。秋雨の日には、濡れた路面に移り込む街灯が光を滲ませる―

 

移り気な秋の空模様。光は空模様とリンクしてその表情を次々と変えていく。その変化にぜひ目を凝らしてみてほしい。きっと、まだ出会ったことのない光と出会えるはずだ。

photo by Nata S