光と陰の世界で生まれ変わるもの―ワイン
ワインの原料となるブドウはそのワインの質を決める重要な要素である。 ワインに良いブドウができるためには気候、土壌、その他の要素が関係するが、太陽の光をいっぱいに浴びて光合成が盛んに行われるようにして育つことは大事な要素だ。 栽培者はぶどうの葉に注ぐ太陽光をいかに多く取り入れるかに工夫を凝らすという。
熟したブドウの実は収穫、処理されてから発酵、貯蔵され、瓶に詰められて熟成させる過程を経る。 その間は光には当てず、瓶に詰められてからも光による劣化を防ぐために冷暗所で熟成保存される。
製品となったワインはぶどうの種類、産地、熟成年数などにより、それぞれが個性を持っていて、独自の色、香り、味、余韻を楽しむことができる。
そしてワインを楽しむにはグラスが重要な役割を果たす。
ワインの特徴に合わせたグラスで飲むことによってさらにワンランク上のワインの味わいに変化させることができると言われている。 ワインの持つ香りや、甘味、酸味、渋み、苦みなど味の特徴をより生かして味わうにはグラスの形状、大きさが大きく関係している。
一般にワインの香りをかぐためには基本的には、底を広めにして香りを立ち易くし、口を絞り、香りを逃さない形にしたグラスが最適である。
また、味覚については舌の先では甘味や苦みに敏感で舌の両側では酸味に敏感だという性質がある。 その性質を考慮してワインの味覚の欠点を打ち消すような形のグラスを選ぶと良い。 例えば、酸味の強いワインは口の広い形のグラスで飲めばまず舌先にワインが触れてその酸味を強く感じないで済む。
そしてワインを飲む光環境も味を決めるのに重要である。
ワインの色を見るには明るい照明の下が良い。 さらにどのような色の光のもとで飲むかによって味の感じ方が違ってしまう。 赤い光のもとで飲むとワインの甘さを強く感じ、緑色の光のもとでは味がよく分からなくなるということが起きるといわれている。 光環境が味にまで影響を及ぼす重要な要素となっているのだ。 楽しく食事をし、歓談しながら飲むことの多いワイン。
グラスに注がれた液体の美しい色を眺め、香りを感じながら美味しく味わい、余韻を感じながら楽しく語らう―そんなひとときを生み出すためにグラスや光環境にも気を配ってワインを楽しみたいものだ。
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