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健康と光3―歯と光2

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欧米人は歯が白く歯並びのきれいな人が多い。エナメル質が欧米人は分厚く、象牙質の色も薄いため歯の色がもともと白いということに加え、歯に関する意識がとても高いからだと言われている。

アメリカでは、白く美しい歯は、ステイタスの重要な要素になっており、歯の状況が育ちや家柄を表し、就職にも影響する。歯の汚さは貧しさの象徴とまで言われ、子供の矯正治療は親の使命となっており、成人までに多くの人が矯正して歯並びを整える。また、ニューヨークでは、虫歯予防のために水道水にフッ素が添加されており、歯の健康に対する意識の高さが伺える。

この歯の健康に対する意識の高さの原因はいくつか考えられる。アメリカは医療の自己負担が多い為、歯の治療に費用をかけないために予防意識が高く、定期的な歯科検診や矯正治療による歯の自己管理が進んでいること、多国籍国家のため、コミュニケーションを円滑にするために美しい好印象の笑顔を作る要素として歯を大切にしていること、などだ。

また、定期健診に通っている人の割合がアメリカでは約70%、日本は約16%と大きな差異があり、予防のために検診が必要という意識の違いは顕著である。
日本人は歯の治療の必要性が出た時のみに歯科医に行く人が多く、予防歯科の意識が低く定期健診に行く人が少ないことによるものだ。

歯の被せ物に対しても欧米人は、セラミックなど価格が高くても審美性が高いものを選んでおり、銀歯のようなものは経済的に困っていると見られると共に審美性が低いとして選ぶ人は少ない。日本人が経済的に裕福な人でも銀歯を利用していることに驚く欧米人は多いという。

セラミックなどの人工歯の色はあまり白いと不自然に感じられるため、色合わせでは慎重な色選びが必要である。
人工歯は、隣の天然歯の色と合わせても光の状態により歯の色の見え方が異なってしまう。反射率、透明度が天然歯と異なっているためだ。最近では以前より材料も改善され、色の見え方、違いも少なくなってきているがまだ完全に同一な物はできないのが現状だそうだ。

歯科医が人工歯の色を決める際、太陽の光と蛍光灯や電球の光では色が違って見えるので注意が必要である。色合わせをするには昼間の北の空からの光が理想的と言われ、歯科医によっては自然光に近い光源の色合わせ専用の部屋で色検討を行うようにしている所がある。

日本人の女性の7割は自分の歯の白さに自信がないというアンケート結果がある。そして
歯が黄ばんでいる人の印象は「笑顔の輝きが減る」「不潔に見える」「老けて見える」
などであるという。

歯を美しく健康に保つことは、顔を好印象にするだけでなく、健康的で自信に満ちた生活に繋がることであることを改めて認識し、自分の歯の管理を大切にしてゆきたいものである。

 

photo by Thomas Morris

 

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